父の肖像

西部グループの堤義明氏が逮捕された。数ヶ月前に辻井喬の「父の肖像」という本を読んだ。辻井喬堤義明氏の異母兄堤清二氏のペンネームだ。清二氏は早くに経済界を引退し好きだった文学の世界で生きている。本の内容は実名が伏せられているので良く解らない部分も多かった。76才で亡くなったカリスマ経営者堤康次郎の外での辣腕ぶりと、内では苦悩と猜疑心に満ち、満たされる事のなかった人生を描いていた。いずれにしても清二氏は父、また義明氏などの家族についても愛憎半ばしているとの印象を持った。76歳でその生涯を閉じたが、その時父の回りには誰もいなかったのである、との言葉が印象的。今日の逮捕を兄弟はどんな気持ちで見守ったのか。堤家の崩壊をむしろ永い束縛と怨念からの解放と、安堵の気持ちで見たのではないかと勝手に想像した。急速に進んでいる世代交代であるが、今経済の世界にもそれが起きているのか。スポーツの世界ではその結果、世界で通用する人々が現れてきた。経済の世界でも同様の事が起こるのか。ソフトバンクの孫さんやライブドアの堀江さんがそうなのか?また最も遅れている政治の世界でも同様の事が起こるのか。小泉という人はその変化の象徴なのか。それにしても国会での大臣達の答弁はひどい。いちどNHK国会中継を見たらレベルの低さに驚く。質の高い答弁は数えるほどだ。